社交ダンス物語 376 靴は命! 長野県大会

コラム

 新潟県大会(第375話)の1週間後には、長野県大会を控えていました。足の小指を怪我してから2週間経ちましたが、腫れはひきません。痛いので、ラテンのダンスシューズは履けません。ダンスシューズが履けないボールルームダンサーは、翼の折れたエンジェルと同じ?(涙)骨にヒビが入る程度の不全骨折なら3週間で良くなるとのことですが、本当に骨折していた場合、競技復帰にかかる期間は保存療法で約3ヶ月と言われます。通勤で履いている靴に、足を入れることもままならず。びっこをひきながら歩いております。富山弁で言うなら「うぞい」(情けない の意味)。当たり前だったことが、全く出来なくなるのですから。怪我をして実感いたしました。靴を履いて歩ける(踊れる)ことは、なんて素晴らしいことなのでしょう!
 
 新潟県大会では痛み止めを飲んで、コーチャーの仰せのとおり穴を開けたスタンダードのダンスシューズを履いて試合に臨みました。なるべく足をいたわるため、長野県大会の前日のレッスンは前回同様にダンスシューズを履かず、靴下で受けました。ダンススクールにて、リーダーと組んでタンゴを踊っていた時の事です。パートナーのけたたましい悲鳴が…。そう、無惨にもリーダーに、痛い足の小指を踏みつけられたのでした。
「足踏まれるのは、二人の腰が合っていないからです!」
コーチャーは一喝。これって自業自得?(涙)ボールルームダンスは男女が半身ずれて踊るので、二人の股関節が噛み合っていたら、足の踏みようもないし、踏まれようもないとのこと。しかもパートナーは、足踏まれたらどうしようと腰をひいて踊っているので、さらに足を踏まれるリスクが高くなるのだとコーチャーからお叱りを受けました。
 
 レッスンを終えて。リーダーに踏まれた右の小指(第5趾)は、さらに腫れて第2趾(手なら人差し指)のサイズよりも大きくなっています。今まで無理して履いていた外履きの靴は、痛くて履けません。インド人ではないので、裸足で外を歩く訳にもゆきません。痛くない外履きの靴(サンダル)を購入するために、ダンススクールから近いショッピングセンターへ、リーダーの車で向かいました。ショッピングセンターでは痛いのを我慢して、びっこをひきながら靴売り場を探しました。靴は見当たりません。ぐるりと1周していました。
パートナー:「車椅子、車椅子…。」
リーダー:「成子さん、あそこに車椅子がある!」
ありがたいことにショッピンセンターの入り口には、一台の車椅子が配備されていました。痛いのでパートナーは靴を脱ぎ、リーダーが押す車椅子に座った状態で、店内を駆け巡りました。(これって、凄まじき光景?)しかし、一階には見当たりません。靴売り場は二階にあるのでしょうか? 自分たちは靴下売り場へ来ていました。その近くに靴が置いてあっても良さそうなもの。そこで靴下売り場の店員さんに、リーダーは声をかけました。
リーダー:「靴売り場は、どこでしょうか?」
店員さん:「当店には、靴売り場はございません。」
 
 試合当日、前回同様にロキソニンをガツンと飲み、穴を開けたダンスシューズを履き、フロアに立ちました。スタンダードC級、準決勝で踊ることができました。採点の内訳は…。チビ・ハゲ、ワルツはゼロチェック! タンゴとクイックステップは、そこそこにチェックが入っていました。ワルツを制する者は、全てを制する?(涙)午後のラテンの試合は欠場です。午後はちょいと観戦した後、競技会場から一番近いショッピングセンターをカーナビで検索して、痛くない靴を求めて直行。ショッピングセンターの下の駐車場はほぼ満車でしたので、屋上の駐車場へ上り、車を停めました。足、猛烈に痛いっ! ヤク(ロキソニン)が切れたか? 店内へ降りるため、足をひきずりながらエレベーターに乗りました。眼下に見えた光景は…そこはHeaven! 広大な靴売り場でした。ほっ。(笑)
著者 眼科 池田成子