社交ダンス物語 377 おなか出ちゃダメ? 全日本シニア選手権

コラム

 去る6月15日、有明コロシアムで第45回日本インターナショナルダンス選手権大会が開催されました。同日、同会場にて全日本シニア選手権ラテンアメリカンも開催。出場資格は男女ともに、35才以上のアマチュア競技選手。日本全国から38組の選手がエントリーしました。自分たちチビ・ハゲもエントリーしていましたが、パートナーの怪我のため(第375話)、やむを得ず今回の大会は欠場することにいたしました。
 
 欠場とはいえ、がめついチビ・ハゲ、当日は会場の入り口にある選手受付のカウンターへと向かいました。プログラムをタダでもらい、入場券を購入せずして観戦するためです。エントリー料9000円は、既にお支払いしてありますので。
リーダー:「パートナーが足の指を怪我しました。今回は欠場いたします。」
「ああ、それは…」と、受付の先生は残念そう。テーブルには選手のゼッケンが用意してありました。自分たちの背番号は7番でした。(残念!)
 
 こんな時こそ超ポジティブ思考。骨折は『骨休め』で良い機会なの?(笑)今回欠場することで対戦相手のダンスをじっくりと観察し、それを自分たちの踊りに活かせるチャンスと思えば。よいお勉強になります。会場内を注意深く観察しながら歩いていると、全日本シニア控え室にてガラス越しに、ぷよぷよと揺れている巨大な白い物体が目に入りました。何? その物体の正体とは、競技用ドレスに着替えている出場選手(リーダーさん)のお腹でした。
リーダー:「え? あの人出るの?」
パートナー:「腹踊りだわ!」
出場しないことをよいことに、チビ・ハゲ自分たちを高い棚に上げて、言いたい放題。(笑) 
 
 チケットなしで、空いている二階席に座りました。二階席でも場所により2000円〜4000円と料金は異なります。ちなみに、ロイヤル席は3万円。一階席で一番安い席は5000円です。自分たちが踊る予定だった、全日本シニア選手権を、とくと観戦させていただきました。
リーダー:「僕たちと、さほど変わらない選手が2、3組いるよ。」
パートナー:「えー! そうなの?」
リーダー:「この中で、僕たちはワースト3には入らないだろう。」
競技選手として、あるまじき発言? 出場しないことをよいことに、チビ・ハゲまたもや言いたい放題。(笑)
 
 会場の一角には、ショップあり。外国製や国産の最新モデルのドレスが数多く展示されていました。その中に一際目をひく、挑発的でゴージャスなラテンドレスあり。吸い込まれたかのように、自分はその前に立ってうっとり。
「このドレス、どなたがお召しになるのかしら…?」
シャンパンゴールド、今まで見たことがない斬新的なデザインです。競技用ドレスは『武士の刀』とも表現されますが、上級選手が決勝で着用して踊るに相応しいドレスです。
「試着されますか?」
お店の人からお声がかかりました。全て日本製で、私の手作りですと店員さん誇らしげ。試着させていただきました。これぞマジカルパワー? 自分が強そうな選手に見えるのです。(踊ったら、すぐにバレますけど。)
 
 あるスタイリストの先生のお言葉にあります。服選びに失敗しないたった一つのルールとは、10年後になりたい自分をイメージして、新しい服を買いなさいと。競技用ドレスも然り? このたび自分は臀部(お尻)まる見えの、シャンパンゴールドのラテンドレスを購入いたしました! 競技ダンスは目立ってナンボ、見られてナンボの世界です。同会場のショップでリーダーも、最新モデルのラテンのパンツを購入しました。コルセットなしなら、パンツは楽に履けるそうです。でもコルセットを巻いて履いたら、ウエストがキツキツ。脊柱管狭窄症の手術を受けたリーダーは、コルセットなしでは踊れません。腰の悪いオジさんだから、ゆるめのパンツで許してもらおうとしたところ、きつめの方が断然ラインは美しいですよと、店員さん一押し!(笑)
 
リーダー:「成子さん、ダンサーたるもの下腹は絶対に出てはいけない。今日から禁酒だ!」
パートナー:「言うは易く行うは難し…」(涙…涙)
著者 眼科 池田成子