皆さま、新年あけましておめでとうございます。お年始といえば、贈り物。真心のこもった贈り物、嬉しいですよね。ここで、お正月の贈り物の代名詞といえば、なんと言っても『お年玉』でしょう。お子様は、お菓子やおもちゃ商品券、可愛いお洋服をもらったら、さぞかし嬉しいでしょうね。でも、やはり『現金』が一番? 実は大人もそうなのですよ(笑)。時代や年代を問わず、贈り物に現金をもらって、「こんなの邪魔だ!」「どこに捨てようか?」なんて思う人は、ごく少数派では?(そんな人いるの?)『お金』は、みんなが大好き。受け取り主の好みを問いません。送り手としてもある意味では、喜ばれる最も確実な贈り物と言えましょう。
他方、人に『モノ』を贈る場合は、受け取り主に喜んでもらえるかどうか、送り手は慎重にならなければなりません。人によって好みが違います。自分がもらって嬉しいものは、人がもらって嬉しいとは限りません。かつてハワイへ行った時のお話です。ハワイには緑色のトカゲが多く見受けられるそうです。グリーンアノールという種だそうですね。お土産屋さんでグリーンアノールを形取った、可愛いミトンの鍋つかみを見つけました。
「これだ!」
迷わず購入。お土産を受けとった人たちの笑顔を思い浮かべ、自分はワクワク。実際にお渡ししたら…。
「趣味悪っ!」
そう言われて、シュン。そのミトン、自分は激カワと思えたのですが、外したようです。緑色のトカゲが黄色いアロハシャツを着て、粋なサングラスをかけています。ミトンに手を入れてグーしたら、トカゲはきゅっと口を閉じます。パーにして手を広げたら、ぱっくりと口を開きます。トカゲの喉からは、飴色のゴキブリがひょうきんな顔をのぞかせます。ゴキブリ君の目玉は真っ赤。
贈り物は、送り主のセンスが問われます。さて、当院の眼科外来から毎月発行している発行物『あいらぶ通信』は、めでたく20周年を迎えました。眼科の待ち合い廊下の壁に「ご自由にお持ち下さい」と設置してあります。発行に至る経緯は、患者さまの待ち時間対策。当時の眼科看護師のアイデアです。
「遅い!」
「まだか!」
患者さまからお叱りを受けぬよう、そして待ち時間を有効に利用していただけるよう、眼科スタッフ一同はあれこれ考えて、20年間書き(打ち)続けてまいりました。内容は、知っていただきたい目の病気についての知識やトピックス、ワンポイントアドバイス、自作のクロスワードパズル、連載で短編の育児日記や社交ダンス物語、スタッフやうちのリーダー作の漫画など盛り沢山です。20年続いたなんて、凄いです。協力してくれた歴代眼科スタッフの労をねぎらい、感謝の気持ちを込めて、このたび20周年記念品を贈呈することにいたしました。
そこで自分は、大きな壁にぶち当たったのです。ハワイのお土産のように、外す訳にはゆきません。願わくは、記念品をもらった全ての人から喜んでもらいたい。何をもらって嬉しいか、若い人に訪ねました。可愛い小物が良いそうですね。オシャレな砂時計やガラス製の花瓶、眺めて楽しい置物など。ところが、年配のスタッフに聞いたら意見が異なります。終活でモノを減らすことに専念しているので、モノは要らないそうです。食べてなくなるものが良いそうですよ。「お菓子ですか?」と聞き直したら、お菓子はいならい、肉だそうです。もらって嬉しい贈り物に、高級タオルもあげられました。年代によって、もらって嬉しい贈り物は異なります。それでは無難に、カタログギフトはどうかと別のスタッフに打診したら、そこには欲しいものはないとのこと。20周年記念品、何が良いか自分なりに考えた末、次の4つの条件を満たすものに至りました。その条件とは…
1. まるいもの (かわいい、縁起物)
2. ちいさなもの(場所をとらない)
3. 破れないもの(記念品よ永遠に)
4. 癒されるもの(あの頃の眼科を思い出して…)
あいらぶ通信20周年の記念品は、能登島ガラス工房の職人さんの人気作品に決定。相談にのってくれたのは、上越エルマールの中にあるお店kukka店長、リーダーの姪っ子さん。バイヤーである彼女がセレクトした商品は、老若男女を問わず喜ばれること間違いなし。糸病眼科、あいらぶ通信20周年記念に乾杯!(笑)
著者名 眼科 池田成子