社交ダンス物語 382 リーダーとパートナーの会話 42

コラム

 2024年後期関東甲信越競技ダンス新潟県大会にて。会場は小千谷市総合体育館。自分たちチビ・ハゲが出場するスタンダードC級は、50組がエントリーしていました。コロナ前は、多い時は200組近い選手が出場していましたね。今回は5ヒートに分けて、10組ずつ踊ります。美と技を競い合う競技ダンスの採点は、他者との比較です。(第250話) 決勝に進出できるカップルは、上位わずか6位。先ずは予選を勝ち上がらなければなりません。予選で同じヒートに強い選手が集中した場合、チビ・ハゲのような弱者は早々にふるい落とされてしまいます。(涙)
 
リーダー:「成子さん、今回も1コケ(1次予選敗退)かも。僕たちのヒートは、強い選手ばかりだ。」
パートナー:「そのセリフ、耳タコよ。ロキソニンちょうだい。」
リーダー:「市販のロキソニンと、病院でもらったのと、どちらが良い?」
パートナー:「使用期限が先に切れる方でいいわよ。」
リーダー:「どちらも切れているよ。」
パートナー:「……。」
 
 試合が始まる1時間前、パートナーは使用期限の切れたロキソニンをガツンと飲みました。リーダーの背番号は47番、最終ヒートです。
リーダー:「成子さん、ゼッケンつけてよ。」
その時のことです。リーダーから受け取った安全ピンが手からポロリ。
パートナー:「あ、落ちた!」
リーダー:「……。」
パートナー:「あなたの身代わりに、(安全ピンが)落ちてくれたのよ。」
 
 1次予選を踊り終えて。一昔は、競技結果は紙で貼り出されていました。蟻のごとくに集まりて、選手達は押し合いへし合い。まさに地獄絵状態でした。(第249話)ペーパーレスの今は、結果はスマホでスマートにわかります。
リーダー:「残った!」
 
 2次予選を踊り終えて。
リーダー:「残った!」
 
 3次予選を踊り終えて…
リーダー:「……。ダメでした。」
 
 チビ・ハゲ、予選を突破できず。すごすごと帰り仕度をしています。
リーダー:「成子さん、決勝に残った6組のうち、5組が予選で同じヒートで戦った選手だよ。」
パートナー:「ヒートが悪かったのね。」
リーダー:「アマチュアC級レベルでは、あわよくば(ヒートが良ければ)決勝もありだろうが、精鋭が集中する過酷なヒートに当たっても確実に決勝に入るためには、3位以内の実力が必要なのか?」
パートナー:「そういえばエレベーターですれ違いざまに、3位以内という言葉を耳にしたわ。A級競技会で優勝なさったパートナーさんのお言葉よ。」
 
 オリンピックもメダルがもらえるのは3位まで。競技の世界はキビシいっ!(涙…涙)
 
 
☆夢を本気で信じたことはあるか?(元サッカー日本代表監督の言葉)
著者 眼科 池田成子