社交ダンス物語 386 夢を本気で信じよう

コラム

 皆さま、こんにちは。糸病眼科の池田です。2024年は皆さまにとって、どんな一年でしたか? 自分たちチビ・ハゲは、ダンス昇級の夢がついに叶った年でありました。日本ボールルームダンス連盟の競技会では、アマチュアC級からB級へ昇級するためには年度内に、C級競技会で6位以上に1回以上入賞と、自己級又は上級競技会で準決勝以上に2回以上入賞の成績を修めなければなりません。先般開催された栃木県大会にて、うちのリーダーはスタンダードB級への昇級を決めました。試合の前夜は、ご縁のある栃木市内の居酒屋へ立ち寄りました。(第371話)
「勝ち栗だ!」
そう言ってマスターが、帰り際に大きな栗を7個、新潟からきたチビ・ハゲに持たせてくれたのでした。
 
 C級からB級への昇級には16年かかりました。長い長い道のりでした。第1話(2008年4月)から今回の第386話が、目標達成までの気が遠くなりそうな歳月を物語っています。その間にリーダーは脊柱管狭窄症を患い、踊ることはおろか、立つこともままならなくなりました。競技に復帰したい一念で、腰の大手術を2回受け(第309話)、その後は懸命にリハビリに励みました。なおパートナーに関しては、甲状腺の病気を患い手足に力が入らず、トイレでの一連の動作もままならなくなり、お尻からトイレットペーパーを垂れ下げて歩いていた氷河期(第267話)もありました。その後は乳××を告知され、大学病院で手術(第351話)、そして放射線治療を受けながらもダンス昇級を夢みて競技会のフロアに立ちました。(第362話)
 
 病気や怪我をして実感したこと、それは「立つ」「歩く」など、今まで当たり前にしていたことは、なんて有り難くて素晴らしいことなのでしょう。腰の手術を受けて、うちのリーダーはベッドの上で仰向けのまま腕しか動かず。しばらくは、ひっくり返ってもがいているカメのような状態でした。(第310話)パートナーも然り、甲状腺ホルモンの補充療法を受けて、氷河期から緩和期に入ったとはいえ、朝目覚めてすぐに立ち上がるのは困難でした。手のひら、かかと、お尻の3箇所を使って、シャクトリムシのように床を移動。
「さあ、人になるんだ!」
掛け声をかけて、踏ん張って二本足で立ち上がっていましたね。なお今年は足の指を骨折して、ダンスシューズが履けなくなるという非常事態に陥りました。(第375話・376話)ホルモン補充療法を続けて今はさほど難なく立ち上がれますし、ダンスシューズも履けます。
『フロアへ戻ってこられた!』
競技に復帰し、ダンスができる歓びに感謝しないではいられません。
 
 ここで、チビ・ハゲからのメッセージ。どうか、夢を本気で信じて下さい。筆者の自宅のリビングの壁には、13年前の新潟日報の全面広告が貼られています。(第101話)新聞広告はセピア色。そこには腕組みをして、じっとこちらを見据えているほぼ等身大の岡田監督(元サッカー日本代表監督)の顔写真があります。そして岡田監督から私達へのメッセージ。
夢を本気で信じたことはあるか?
夢や目標を本気でめざすと、すべてが変わる。
運は誰にでも流れている。それをつかむか、つかまないかだ。
何事も可能性はゼロではありません。病持ちチビ・ハゲが、それを実証したのです。この度のダンス昇級は、病気を患いながらもあきらめず、夢を信じて、コーチャーを信じて、そして自分達を信じて挑戦し続けてきた賜物でしょう。
 
 今年も残り少なくなりました。読者の皆さま、糸病コラム『社交ダンス物語』をご愛読いただき、ありがとうございます。このコラムは40代チビ・ハゲ独身男女が結婚をも顧みず、ダンス昇級を夢みて練習に勤しみ、昇級しないまま50代となり、病気を患い、もうダメなのかと絶望の淵に立たされながらも夢をあきらめずに挑戦し続けたストーリです。コラムを今まで続けてこられたのはひとえに、応援してくださった読者の皆さま、そして無料のダンス練習場を提供してくれたスポンサーである糸魚川総合病院のお陰と感謝の気持ちでいっぱいです。いつの日か皆さまとダンスをご一緒させていただけたらと、チビ・ハゲは切に願っております。応援ありがとうございました。ダンスバンザイ! 糸病バンザイ! 皆さまに幸あれ!
 
 
リーダー:「成子さん、ダンス物語はこれが最終回なの?」
パートナー:「まさか、次の夢があるわ。」(笑)
著者 眼科 池田成子