社交ダンス物語 388 骨活のススメ

コラム

 寒中お見舞い申し上げます。寒い日が続きますね。雪道をスッテンコロリン、転倒されて骨折なさる患者さまは絶えません。23年前の1月のことが思い出されます。出勤時、車から降りてツルツルの医師駐車場で滑って転びました。
「なんで?」
立ち上がろうとしましたが、全く足に力が入らないのです。まるでクラゲ?! 池田が転んでいるのを見て、最初はニヤニヤ笑っていた病院職員は、池田があまりにも立ち上がろうとしないので慌てて車椅子を持ってきてくれました。そのまま整形外科外来へ搬入。レントゲンを撮ってもらったら「左下腿骨折」と診断されました。左足首の骨折です。うちの病院で手術を受けて、3ヶ月間の入院生活を送りました。(第361話)転んだ時、声も出ないほど痛かったのですが、まさか骨が折れているなんて思いもしませんでした。当時の自分は30代、ボールルームダンスとご縁ある前のお話です。ちょっと転んだくらいで骨折するのは『老人』と、対岸の火事のように思っておりました。(いともたやすく折れるなんて…)
 
「酒ばかり飲んでいるから、折れたんだ。」
 当時、見舞いにきてくれた知人や職員達から、ちゃんとした食事を摂りなさいと、散々お説教されました。アルコールはカルシウムの吸収を悪くするといわれます。自分はお酒ばかり飲んでいた訳ではありません。食事にはそれなりに気を配っていたのです。お説教しながらも、見舞いに来てくださった方々がくださる品々は、お酒づくしでした。スイーツまでお酒入り。八海山をたっぷり染み込ませた地酒ケーキなど。当時、自分の病室(個室)には、お酒のボトルがズラリと並んでいましたね。看護師さん、先生、病室へお掃除に来てくださる方々も、見て見ぬふり。消灯された糸病の病室、そこはバーのカウンターのごとし。これは20年以上前の、古き良き時代のお話です。(笑)
 
 さて、女の人は50歳ごろから女性ホルモンが急激に減少してゆきます。すると骨密度が低下し、骨粗鬆症になりやすくなります。女性は男性の3倍高率に発症するそうですね。現在自分は乳××の治療をしています。乳××にはいろんなタイプがあり、××の種類によって治療は異なります。自分の場合、女性ホルモンに感受性がある××とのこと。よって細胞の増殖を抑えるため、女性ホルモンを抑えるお薬を毎日内服しています。ただでさえ少なくなるのに、さらに減らされているのです。先日大学病院で、骨密度測定検査をしてもらいました。結果は、右の大腿骨量は年齢相応以上に減っているとのこと。
「ダンスをしているのに…」
外科の主治医は、あれっ?とばかり。スポーツ選手の骨密度は、一般の人より高いことが知られています。自分はダンスで毎日鍛えているのになぜ? ダンスの練習量が足りないってことなの?(ムンクの叫びマーク)
 
 骨粗鬆症の予防には、
1)骨の成分であるカルシウムを十分にとる。
2)栄養のバランスを良くする。
3)カルシウムの吸収を悪くしない。
4)適度の運動をする。
 
「転んだら、終わりです。」
 眼科外来を受診される80代、90代の女性患者さまに自分はそう申し上げておりましたが、実は自分も患者さまと同じ土俵なのでした。(涙…苦笑)外科の主治医からは、牛乳を飲むよう勧められました。スポーツドクターのY先生(第157話)からは、イカやちくわを食べるよう勧められましたね。ここで重要なのは、カルシウムだけとってもダメであること。血液に入ったカルシウムを骨まで運んでくれるビタミンD、カルシウムを骨に沈着させてくれるビタミンK、そして骨の材料となるタンパク質も十分に摂ることが大切と、うちの整形外科の0先生(第375話)からアドバイスされました。予防に勝る治療なし。バランスの良い食事、運動を習慣化して、アルコールは適度な量を楽しむことが肝心なのですね。骨活のススメ、骨まで愛して!(笑)皆さまこの冬は、スッテンコロリンして骨折しないよう心がけましょうね。
 著者 眼科 池田成子