社交ダンス物語 336 リーダーとパートナーの会話 34

コラム

 『美』と『技』を競い合う競技ダンスの採点法は、他者との比較です。より美しいカップルが、勝ち上がります。多い時は200組以上の選手が出場します。予選では十数組の選手が同時にフロアに出て、曲がなると一斉に踊り始めます。フロアサイドには数人のジャッジが立っていて、目に入る選手からチェックが入ります。チェック数により、次の予選へ勝ち上がれるかどうか決まります。生存率3%(第250話)、栄えある決勝へ進出できるのは、最後まで勝ち残った6組のみ。自分たちチビ・ハゲ組、アマチュアラテンB級は一次予選敗退。ゼロ・チェック(最下位)という悲惨な結果でした。

パートナー:「あなたは何で、わざわざ強い選手の隣で踊るの?!」
リーダー:「わざと強い選手の隣で踊った訳じゃないよ。たまたま強い選手が隣にいたんだ。」
パートナー:「場所を変えて踊ってよ!」
リーダー:「成子さん、かつて日本インターでプロの試合を見たでしょ。フロアでは日本人選手は、ミルコやコッキ(世界チャンピオン)が歩いてくる方向や立っている方向と、違う方向へ場所を変えていた。」
パートナー:「ミルコやコッキが近づいてきたら、逃げるしかないわ! 手をつないで入場しながら、それとなく場所を変える選手もいたわね。」
リーダー:「どのみち僕たちはイチコケ(一次予選敗退)だ。いそいそと逃げる方が格好悪いよ。男には負けると分かっていても、戦わねばならない時がある。」
パートナー:「それ、昭和の時代に聞いたセリフね。あなたは勇敢に戦ったわ。」


☆うちのリーダー、負けてもカッコいい?(涙…涙)

著者名 眼科 池田成子