社交ダンス物語 389 真冬のバスルーム

コラム

 1月末から2月にかけては、寒さの絶頂期です。寒いのは、へいちゃらですって? 羨ましい。自分は寒いのが大の苦手です。7月生まれだからでしょうか? 夏の暑さには強いのですが、冬の寒さは骨身にこたえます。2月は気が滅入ってしまう季節。ちなみに自分はシャワー派です。(第242話)うちのシャワーの温度は不安定、急に水になったりします。真冬にうちのシャワーを浴びることは、滝に打たれる修行のごとし? バスルーム、寒い! 脱衣所寒すぎ! リビングも寒い! 暖房を入れろって? 入れていますよ。現在住ませていただいているマンションの賃貸のお部屋は角部屋で、広いバスルームには見事な出窓が取り付けてあります。よって浴室用暖房機は、ほとんど効力を発揮しません。うちの真冬のバスルームは、冷蔵庫の野菜室さながらです。(涙)
 
 マンションでは、灯油の使用は禁止されています。家主さまはリビングにエアコンを取り付けて下さいましたが、一向に暖まりません。小さなエアコン一台で、リビング、ダイニング、キッチン、寝室、洗面所、脱衣所をまかないきれません。暖かいのは、エアコンの吹き出しの真下だけ。こっそり石油ストーブやファンヒーターを使っている住人もいらっしゃるようですが、それはマンションを新築で購入された方の既得権と言えましょう。賃貸の弱み、自前でハイテクなエアコンを取り付けたくても、それも許されません。真冬のキッチンはお湯を沸かして暖はとれても(第341話)、真冬のバスルームと脱衣所からは、逃げ出したくなるのですよ。(涙) 寒いならシャワーではなく、湯船に漬かれば良いですって? 酔っぱらいが湯船に浸かったらどうなるか、ご想像なさって下さい。お尻は浴槽の底をスウィングし、ブクブクですわ。(ムンクの叫びマーク)
 
 真冬のバスルーム、そこはおそるべし所。
「わしはもう何十年も、風呂に入っていない!」
先日、目の手術を受けるため入院なさった男性患者さまが、お風呂に入らないぞと断固拒否されました。シャワーも拒否。風呂に入って死んだ人はいるが、風呂に入らなくて死んだ者はいないとコワい顔で主張されます。ずっとお風呂に入らないと、垢の層ができて、ずず黒くなるようですね。その男性患者さまの皮膚は分厚くひび割れて黒いのです。まるでカメの甲羅のよう。一生お風呂に入らないエスキモーは、毛皮の衣類を脱ぐと同時に垢が衣類にくっついて剥がれるので、体を拭くくらいで良いそうですね。そこで患者さまの許可をいただき、看護師達は患者さまの体をタオルで清拭。(涙…笑)
 
 『お風呂に入らない』の話題で、エキサイトされましたか? ここで、話を真冬のバスルームへ戻します。人前に出る仕事をしている人、とりわけ接客業の方は臭いのはタブーと言えましょう。プロのダンスの先生からは、いつも良い香りがしています。毎日入浴剤でお風呂に入り、良い匂いのボディーローションを塗っていらっしゃるの? 周りの人々をhappyにしてくれますね。人前に出る仕事といえば、医療従事者も然り。風呂に入らず、寒いからとシャワーもおざなりにする訳にはゆきません。そもそも医者が臭くても、患者さまは面と向かって「臭い!」とは仰りません。
「池田先生からは、香ばしいニオイがいたします。」
かつて入院患者さまを無理やり問いただしたところ、自分はそう言われたことがありました。(第333話)臭いと患者さまから嫌われてしまいます。そこで我が家の真冬のバスルームで、自分がシャワーを浴びる際に実行していることを、ご紹介させていただきます。
 
その一、先ずは洗髪する。この時、体にお湯をかけてはいけません。体温が奪われてしまいます。
その二、洗髪したら、ただちに浴室内で髪の水分をタオルで拭き取る。水分を残すと脳が冷えて、めまいを起こします。
その三、シャワーの熱で浴室の温度を上げてから、体を洗う。体の脂がとれると痒くなります。お年寄りの場合、石鹸を使うのはマタとワキだけで宜し。
その四、浴室内で、体の水分を完全に拭き取る。脱衣所に出て拭こうものなら、心臓発作や脳出血を起こして、糸病のお世話になりかねません。
その五、「明日も仕事だ!」 気合いを入れて、浴室から脱衣所へ飛び出す。以上。
 
 
☆脱衣所へ飛び出すやいなや、「コート、コートっ!」(笑)
著者 眼科 池田成子