社交ダンス物語 329 リーダーとパートナーの会話 33

コラム

 病院の講堂には、ダンスの練習に挑戦する、病持ち50代独身男女の姿あり。何事も上達するためには、意識することが肝心といわれます。ダンスはナチュラルムーブメント。若い時はガムシャラに踏ん張り、勢いで踊っていましたが、年をとってからは出来ません。年をとればとるほど、ムダを省いて頭を使い、ナチュラルな踊りを追求しなければなりません。問題意識を持つことも大切です(ボケ防止?)。初老の病持ちチビ・ハゲ、省エネで効率の良い踊りを目指す次第であります。二人は組んでワルツのルーチンを踊りはじめました。あら、リーダー君、ダンスから脱線して「なんでだろう?」「不思議だ」と興じています。

リーダー:「ちょうちょは幼虫の時は葉っぱを食べているのに、成虫になったら空を飛び、花の蜜を吸っている。なんでだろう?」
パートナー:「……。」
リーダー:「ヤゴは水の中で生活していて、トンボになって空を飛ぶ。すごい変化だ。なんでだろう?」
パートナー:「……。」
リーダー:「セミの幼虫は土の中で7年間も生活していて、地上に出て成虫になったら7日間で死んでしまう。なんでだろう?」
パートナー:「ダンスは半身ずれて組むので、足はぶつかるはずはない。なのに私はあなたに足を踏まれっぱなし。なんでなの?」

 フォーラウェイ・リバース・アンド・スリップ・ピボットの際に、毎度のごとくパートナーの左足の親指の付け根を踏みつけているリーダーでした。


☆勢いでなく、女子の足の位置を意識して踊って下さい!(by パートナー)

著者名 眼科 池田成子