社交ダンス物語 328 リーダーとパートナーの会話 32

コラム

 病院の講堂には、ダンスの練習に挑戦する、病持ち50代独身男女の姿あり。競技選手として、往生際の悪さは天下一品。腰が痛くても、ダンスの練習を一日欠かすことに罪悪感を覚えるという、うちのリーダーです。
パートナー:「ここ数年、コロナと病気で試合に出られなかった。来年こそ、新潟県選手権アマチュア・ラテンアメリカンに出場したいわ。」
リーダー:「オジさん・オバさんが、新大生(新潟大学競技ダンス部)と同じフロアで踊らせてもらえるなんて、光栄だ!」
パートナー:「身の程知らずと、笑われるでしょうけど。私たち、新潟ダンス界の名物オジさんとオバさんかもよ。」

 お陰さまで、自分たち病持ちチビ・ハゲは、休まずに1曲通して踊れるまでに回復いたしました。この調子なら、奇跡的に一次予選を突破したら、二次予選は棄権せずにフロアに立てる?(笑)二人はヨロヨロとルンバ・ウォークしながら、他愛ない会話を交わしています。
パートナー:「もし、織田先生(元・全日本プロ・ラテンアメリカン・チャンピオン)が身分を隠して試合に出たら、優勝するかしら?」
リーダー:「引退してアラフォーだけど、間違いなく優勝するよ。」
パートナー:「じゃあ、それ以前の歴代チャンピオンは? 北条先生や大村先生は?」
リーダー:「僕たちと同じ50代だね。若いのと戦っても、チャンピオンだ。」
パートナー:「じゃあ、あなたがプーチン(柔道8段)と戦ったら?」
リーダー:「投げ飛ばされるよ。」
パートナー:「えーっ! 一流の柔道家のあなたが、プーチンに投げ飛ばされるなんて?!」
リーダー:「プーチンの趣味は柔道だ。毎日練習しているらしい。じじいでも、毎日鍛えている人にはかなわないよ。」


☆負けるな、リーダー!

著者名 眼科 池田成子