皆さまこんにちは。糸病・眼科の池田です。糸病コラム、『社交ダンス物語』をご愛読いただき、ありがとうございます。ダンスを習い始めた昔を思い出します。先生と踊ったら、ハピー!(ハートマーク)。上手に踊れたつもり。(自分って、ダンス巧いの?)でも、うちのリーダーと踊ったら、顔が歪みました。(苦しい! 窒息するっ!)リーダーも然り。ルンバのクローズド・ヒップ・ツイストで、女子を立たせようとしで悲鳴をあげていました(第255話)。転倒しそうになるそうです。ワルツのレフト・ウイスクもそう。元・柔道選手(第176話)、女が重くて背骨が折れると目を白黒させていました。フォーラウェイ・リバース・アンド・スリップ・ピポットでは、互いに歯を食いしばり相撲をとっていた? レッスンでコーチャーから言われた通りにやっているつもり。でも、自分たちは出来ません。ダンスは上達しないし、試合で成績も出ません。(自分たちは、不器用なの?)
ダンスのみならず目の手術をしていて、自分は不器用なの?と、感じることがあります。先月、オンラインで参加した日本眼科手術学会の教育セミナーにおいて、講師の先生はこう語っておられました。手術上達は、器用不器用の問題ではない。意識だけの問題だそうです。手術上達の近道は、ちょっと意識すること。そして誰でも出来ることを確実にすることだそうですよ。眼科医は椅子に座り、顕微鏡をのぞきながら手術をしています。初級者がやりづらいと感じるのは、自分の置きやすい場所に手を置いて、手だけ使って手術しているからだそうです。術野(手術していて見える範囲)だけでなく、見えない部分に意識を働かせる事も肝心。手首の角度、手を置く位置を意識しなさいとのことでした。開けたり閉めたりして脇の角度を変え、それに伴い肘の角度や肩の角度も変化し、背中の向きも変わります。手術は手でするものではない、上半身全体を使ってやるという意識が大切と力説しておられました。セミナーでは大先生の執刀の様子が、ビデオで供覧されていました。それは、息をのむ光景。手術中に機具を持つ手の、肩・肘・手首の連動した動き、それはまるでラテン上級者のなめらかなフリーアームのよう!
手術とダンス、相通ずるものがあったのでした。ちなみに、ダンスでいう足とは、腰から下ではありません。脇から下が足といわれます。首から下が足と、おっしゃる先生もいます。(タコちゃん?)当然のことですが、踊る時は足だけを前に出してはいけません。ボディが先攻します。(ボディ全体が足?)何事も、やりづらい原因を、頭で考えなければならなりません。ダンス上達の近道は、手術と同じでしょう。まずは誰でもできることを確実にやること。プロのダンスの先生にとって、ルンバウォークは出来て当たり前。アマチュア競技選手の自分たち、ウォークどころか、立つことすらままなりません。地道なベーシックが出来ていないのに、アマチュア競技選手は、派手で見栄えの良いステップに憧れて走りがちです。ちなみに、絶対に失敗しない手術とは、ある大先生がこう語っておられました。絶対に失敗しない手術、それは基本に忠実であること。カッコいい手術をしないことだそうですよ。(第189話)。同じくダンス上達、そのためには、ちょっと意識を。そして当たり前のことをきちっとする。何事もベーシック(基本)が、肝心なのでした。
パートナー:「ダンス上達は器用不器用の問題ではなく、意識の問題なのね。」
リーダー:「腰は悪いけど、ダンスA級目指します!」
著者名 眼科 池田成子