スパイ映画といえば、ハリウッドスターのトム・クルーズ主演の世界的大ヒットシリーズ『ミッションインポッシブル』を連想される方は多いでしょう。第1作目は1996年公開、宙吊りアクションはハラハラしましたね。お決まりのセリフ、「このテープは5秒後に消滅する」イイですね。(笑)人気スパイ映画『007』シリーズも虜になります。1962年に第1作が制作され、50年以上にわたり世界中で愛され続けています。筆者が10代の頃にTV放映で最初に見たのは、初代ジェームズ・ボンド役のショーン・コネリーでした。当時女の子だった自分は、自分の父親より年上の、ボンド役の品格あるオトナ(オジさん)の色香にコロリ。(笑)なお、アーノルド・シュワルツェネッガー主演『トゥルーライズ』、これは1994年のアメリカ映画。凄腕のスパイが、その身分を妻や娘に隠しながら、テロリストと戦うスパイアクション・コメディ。こちらもエキサイトしました。
『トゥルーライズ』では、シュワルツェネッガーがタンゴを踊るシーンがとても印象的です。スパイがタンゴを踊るなんて、粋でステキ! このダンスシーン撮影のために、6ヶ月かけてリハーサルされたそうですよ。社交ダンスをたしなむ殿方なら、うなずけるでしょう。わずか6ヶ月で(リードする側の男子が)、観客を喜ばせるタンゴをご披露するなんて、シュワちゃん凄すぎ! 製作費は120億と言われますが、どんなコーチャーを付けて特訓なさったの? 映画のストーリーは、コンピュータ会社のセールスマンという偽りの姿で自分を隠していた主人公が、奥さまに身分を知られてその1年後、奥さまもスパイへ転身。エンディングでは夫婦してスパイしていましたね。深紅のバラの花を口にくわえて、夫婦で情熱的にタンゴを踊るラストシーンには拍手を送ります!(笑)コメディとはいえ、わずか1年で奥さまがスパイとして活躍しているのも乙です。
何を隠そう、糸病・眼科の池田、自分もスパイ気取りです。白衣のポケットの中には、高性能小型カメラ搭載のスマホ、エクスペリアを忍ばせています。病棟では、回診をしている善良な田舎のドクターを演じながら(実際に、回診しています)、看護師や患者さまの目に触れぬよう、素早くシャッターを切るっ!
「一体、何を盗撮しているんだ!」
はい、申し上げます。それは『クローズドの世界』と呼んでよろしいでしょうか? その正体とは『給食』です。給食には、日本給食経営管理学会があるそうですね。うちの病院の栄養士から聞いた話によると、この辺(糸魚川)では誰も学会に参加していないし、学会に参加しなければならない義務もないそうです。学会の存在すら知らない栄養士も多いそうですよ。各病院間における情報交換もないそうです。ちなみに、患者さまの給食料は全国一律、通常一食あたり460円。病院の給食においては、栄養・味・コスト面から病院の経営まで考えなければなりません。情報共有の時代に、給食に関する情報交換がされていないという事実に驚愕! そこで、リーダーとパートナーで密かに『スパイごっこ』しながら『給食』をリサーチして、情報共有しています。腰が悪くて、ダンスもままならないうちのリーダーは(第157話)、某市民病院の整形外科に入院しております。整形外科の入院患者さまの唯一の楽しみは、『給食』と言って過言ではないでしょう。
のどかな田舎の病院の朝の病棟、そこにはスパイ映画のテーマ曲を鼻歌で口ずさみながら、目を光らせて待機している眼科医がいます。温冷配膳車が、給食用のエレベーターで上がってきました。その日、配膳車が病棟の廊下を通過した時間は、午前7時28分。
「○○さん、お食事ですよ。」
看護師が給食を運び出し配膳。その瞬間、眼科医は身を投げ出し、素早くシャッターを切るっ! ミッションインポッシブル!(ガッツマーク)。画像を速やかに、よその病院に入院しているリーダーへ転送。そしてリモートで、ディスカッションを行います。
リーダー:「今日はオムレツ、ケチャップ付き。あ、そちらはハム!」
パートナー:「厚切りのハムに、ブロッコリー添え。卵なし。」
リーダー:「卵とハムがあれば、立派なモーニングだ。」
パートナー:「朝食で共通しているのは、ご飯にお味噌汁と牛乳。海苔orふりかけ。卵料理orハム。ナムルや胡麻和えなどのプチおかず1品。」
リーダー:「糸病の給食は、野菜が豊富だ。JA、やるじゃない!」
パートナー:「そちらのお野菜、もやしね。目に良い緑黄色野菜がないわ。」
リーダー:「緑色のお皿で、誤摩化しているのか?」
パートナー:「料理は器が命よ。ところで、毎日こんなお献立なら、120歳まで生きれそう!」(笑)
著者名 眼科 池田成子