社交ダンス物語 306 リーダーとパートナーの会話29

コラム

 真夏の病院の講堂には、ダンスの練習に挑む(『励む』ではありません。『挑む』です。)病持ち50代独身男女の姿あり。パートナーは大あくび。お尻の痛いリーダーは、コルセットを巻いてダンスに挑戦。競技選手として、往生際悪過ぎ? 二人とも一曲踊っては、へなへなと椅子に座り込みます。日曜日の昼の出来事です。直接肌に付けているコルセットを巻き直すため、トランクスを下ろしたリーダーは突如、悲鳴をあげました。病院の講堂の窓を通して、若い男性と視線があったようです。

リーダー:「なんで柵もない病院の屋上に、人がいるんだ!」
パートナー:「作業をしているのよ。」
リーダー:「××見られてしまった!」
パートナー:「作業員が女性でなくて、良かったわね。公然わいせつ罪で、糸魚川警察のご厄介になるところだったわ。」
リーダー:「まさか、そんな所に人がいるなんて…。」
パートナー:「私も似たような経験があるわ。マンションの3階のお部屋に住んでいた頃のことよ(第166話)。日曜日の昼下がり、シャワーを浴びた後にスッポンポンでお部屋でビールを飲んでいたら、窓越しに若い男性と目が合ったの。その人、お隣のクリーニング屋の青い屋根の上で作業していたの。」
リーダー:「成子さん、糸魚川警察に通報されなくて、良かったね。」

 タワマンの高層階でもない限り、お部屋でスッポンポンはキケンです。自宅にいても『公然わいせつ罪』で、おまわりさんのお世話になる時代です(ムンクの叫びマーク)。刑法第174条、6ヶ月以下の懲役もしくは30万以下の罰金に処せられます。コワすぎ! ちなみに、プロのダンスの先生、そしてアマチュア上級選手は、常に人に見られていることを意識しているので、公衆トイレでも気を抜かないそうですよ。そこは競技会のフロア同然です。ダンスをする人はもちろんのこと、ダンスをなさらない方も『人ごと』ではありません。スーパーやコンビニがそう。紫外線ばかりではなく、あなたは常に人の視線に曝されています。ジャッジ(周りの人々)からフルチェックをもらいたい方へ。
「ああ、自分は完璧だ!」
いつでも、どこにいても、24時間体制で『隙あらず』を心がけましょう。(笑)


☆成子さん、昼下がりに窓を眺めながら、スッポンポンでビール飲むって、なんて優雅なんだ!(by リーダー)

著者名 眼科 池田成子