多様性を尊重する社会の流れを背景に、性別にとらわれないことを念頭に置いた新しいシリーズのランドセルが販売されています。落ち着いた色合いで、性別を問わず色を選びやすいデザインが人気あるそうですね。お子様が自由に好きな色やデザインのランドセルが選べるのは、微笑ましいことです。ちなみに筆者が小学生だった昭和40年代は、ランドセルといえば2色のみ。男の子は『黒』、女の子は『赤』でした。当時の子供達には、色の選択の余地なし。「女性だから○○」「男性だから○○」といった性別による固定概念は、知らず知らずに私たちの意識の中に根付き、ときに『個性』を自由に表現することへの妨げになることが懸念されます。某鞄製造会社が保護者に行ったアンケートでは、ランドセルの色は性別による固定概念がないほうが良いとの回答が8割以上を占めていたそうです。
さてここで、20代の若者達に急速に認知されているという『ジェンダーレス』、これは男女の性区別がない、新しい価値観(ニューノーマル)の考え方だそうですね。ジェンダーレスの特徴は、中性的であること。ファッション界においても、『女性』『男性』の壁を取払い、人々の自由な自己表現に焦点を当てたジェンダーレスファッションが、今年話題を呼んでいます。一昔の学生服を例に挙げても、『女の子はプリーツスカート』『男の子は学ラン』でした。私たちは今まで、社会の「こうあるべき」に縛られてきました。今やファッションに性別は時代遅れ? これまで着たい服を着ることができなかった人、そんな人たちが、これからは自分のために自由にお洒落を楽しめるように、女性のためでもない男性のためでもない、自分らしくあることを表現させてくれるブランドが進出しています。
なお、性別にとらわれず自己表現を楽しむというコンセプトに共感が集まる中、男女の性差にとらわれない『ジェンダーニュートラル』なコスメも商品化されています。コスメは従来、女性が使うことが前提とされてきました。それに違和感を感じていた男性もいらっしゃると想像されます。近年は性別や決められた枠にとらわれず、メイクアップを楽しむコスメが注目されており、人気上昇中だそうですよ。ガクト様やローランド様は、どのブランドをご愛用なさっているの? ちなみに、自分達チビ・ハゲは、リーダー・パートナー共にナージャの化粧品を使用しています。ナージャといえば日本で唯一のダンスメイクアップの専門店。うちのリーダーは普段はメイクしませんが、競技会では気合いを入れてばっちりメイクします。上級選手から、「ダンスはダメでも、メイク上手!」と褒めていただきました。彼の好みのリップカラーは、深みのある青紫色。色っぽくミステリアスな雰囲気でオススメです。(笑)
最後に、自己表現といえば、自分たちが夢中になっているボールルームダンスに焦点を当ててみましょう。ボールルームダンス、そこはまさに『男』と『女』のストーリー。競技会では、いかに男は男らしさを、女は女らしさを踊りで表現するかが求められます。でも、ニューノーマルなご時世に、「男らしさ、女らしさ」を論じていたら、小学生やその保護者の方からはもちろんのこと、同性愛者や両性愛者、トランスジェンダーからも「old fashioned!(時代遅れ!)」と、ドン引きされてしまいそう。そもそも昨今において、男らしさ女らしさとは何? ダンスの競技会の『服装規定』は、ラテンアメリカンは『自由』です。自由とはいえ、リーダーさん(男子)はお決まりのように、黒いパンツと黒い革靴を履いていらっしゃいます。それって古き良き時代の「男子はこうあるべき」という先入観や固定概念のとらわれ? 『美』に性別はありません。このご時世、『美』と『技』を競い合うラテンアメリカンの競技会で、リーダーさん達がミニスカートを翻し、ありのままのご自分を表現なさる日はそう遠くないかもしれません。
リーダー:「成子さん、スタンダードの競技会では、男子は燕尾で女子はドレスだ。ジェンダーレスから見たら、まるで鹿鳴館時代か?!」
パートナー:「ジェンダーレスに限らず、ダンスをしない人が見ても、そのものよ。」
著者名 眼科 池田成子