社交ダンス物語 295 ニワトリを科学する

コラム

 皆さま、こんにちは。糸病眼科の池田です。糸病コラム、『社交ダンス物語』をご愛読いただき、ありがとうございます。ダンス界もコロナ禍で混沌としています。昨年度の試合は全て中止でした。2021年前期ダンス競技会の日程と場所は、ホームページで掲載されています。火蓋を切っての開催地は千葉県の予定でした。しかし、やむなく延期。
「ダンスの大会に出たいっ! でも立場上、出られないっ!」
そんな選手は、大勢いると想像されます。医療従事者の自分も、そのひとりです。新潟県厚生連の病院職員は、緊急事態宣言の出されている都府県には、原則的に行ってはダメとされています。Withコロナ、ヒトとコロナが共生する時代の訪れです。

 さて先日、TV番組『チコちゃんに叱られる』で、ニワトリの特集がありました。
「オスのニワトリって、まるで競技ダンスのリーダーさんのよう。」
自分はそう感じたのです。
「俺とニワトリを一緒にするな!」
リーダーさん達に叱られそうですけど…(苦笑)
「コケコッコー 」
オスのニワトリは、けたたましく鳴きますよね。そもそもニワトリが朝に鳴くのは、なぜでしょう。それは…
「俺様が一番ケンカに強いんだぞ!」
そうアピールしているのだそうですよ。美と技を競い合うボールルームダンスの競技会のフロアにおいてもそう。より強く美しい男子が勝ちあがります。
『俺を見ろ!』
リーダー達はオーラを発して、踊り出す前からジャッジや観客に自分をアピールしています。これってオスのニワトリのようだと思いませんか?(笑)

 ニワトリといえば、現代では狭い小屋で飼育されている鳥ですね。もともとは、広い森に住んでいたそうです。野生のニワトリは一夫多妻制。オス1羽がメス10~30羽をパートナーとして、ハーレムを作ります。オスの鳴き声は、
「俺様はここにいるぞ!」
と周囲へのアピール。その鳴き声を聞いて、他のグループのオスのニワトリは、
「あそこへ行くと、ヤバいぞ。」
そう思うのだとか。ニワトリは完全なる縦社会、オス同士は激しく喧嘩しますが、一度喧嘩で勝つと、その順位はくつがえらないといわれます。それは、無駄な争いを避けるためだそうですよ。オス同士のトップの座を巡る激しい戦いで、順位がくつがえりにくいといえば、ダンス界も同じでしょう。激しい戦いを勝ち抜いて王座を獲得すると、ずっとチャンピオンのままです。その最たる人が、ドニーバーンズ先生。10年以上も世界ラテンチャンピオンの座に君臨していました。ちなみに自分達チビ・ハゲはド派手に負け続けて、下手のレッテルが貼られています。よって10年以上、新潟県選手権そして全日本シニア選手権では、最下位を維持。(涙…笑)

 最後に。コロナ禍の皆さまへ、ニワトリにまつわる心なごむエピソードです。筆者が子どもの頃、うちの町内でニワトリが1羽飼われていました。もとは妹(当時小学3年生)が、お祭りで買ったひよこでした。
「うちで飼ってはいけません!」
大人からそういわれて、妹は泣いていました。そのひよこを、同じ町内に住む妹の同級生の男の子が、引き取ってくれたのでした。「ニワ」と名付けて、大切に育ててくれました。夜店やお祭りで買ったひよこは、すぐに死んでしまうといわれますが、ニワは無事オトナへと成長しました。当時、ひよこの売値は、メスがオスより高かったです。(たしかメスが300円、オスは200円)卵を産んでもらいたいので、妹はメスのひよこを買いましたが、なんとニワに鶏冠(とさか)が生えてきたのです!
「コケコッコー 」
ここにはライバルのオスも、パートナーのメスもいません。でもニワは、誇らしげに毎朝鳴きます。その鳴き声で、町内の人は目を覚まします。ニワは町のアスファルトの道を、誇らしげに闊歩します。町内のアイドルでした(ニワにしてみれば、俺様は町内のボスだぞ!)。ニワが車にはねられたらいけないので、ハラハラしながら町の人々はその後ろを追いかけていましたね。(笑)

著者名 眼科 池田成子